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TURTLE MOON の Web雑記

センスゼロ!特注品の特大お誕生日ケーキで社会の洗礼を受ける 1of2:07年3月7日

「オイ!あとで特大ケーキ見せてやるから来いよ!」

モワンと充満する生クリームの匂いに、むせ返りそうになっていた私。
その私に、30過ぎの中堅ケーキ職人がこういったのです。

私は当時、お菓子メーカーの新入社員でした。
工場内に充満する濃厚な甘ったるい匂いに、まだまだ不慣れだった私。
ときどき「オエッ」と胸焼けをおこしながらも、なんとか工場での仕事に適応しようとしていた、そんな時期のお話です。

この中堅ケーキ職人のおっさん……仮に「E蔵さん」といたしましょう。

そもそもE蔵さんと私は、所属する部署が違っておりました。
それでも、業務上接する機会が多かったので、私的には、本来の部署の人間よりもうち解けているくらい。
E蔵さんは、私がこの会社に入社後、初めて親しくなった人だといえるかもしれません。

そんな彼が、会社が とあるプロゴルファーのために注文を請けた、特大お誕生日ケーキをつくるという大役を任されたのです。

工場の隅には、持ち運ぶのに3,4人は必要になりそうなほどの、大きな化粧箱が。
これはなかなか、大変な仕事になりそうです。

■ 驚愕の特大お誕生日ケーキ

時間は過ぎて、そろそろ終業となるころ。
すでに自分の仕事を片付けていた私は、E蔵さんにいわれたとおり、特大ケーキの仕上がりを見物にいきました。

ケーキ工場の真ん中には、数十人前はあろうかという巨大なお誕生日ケーキが、ドバ〜ンと鎮座しておりました。

そのケーキは、上面が軽自動車のフロントガラス程度もある、巨大な直方体です。
表面には、真っ白い生クリームが塗られております。

数人のケーキ職人が、その特大ケーキを取り囲んで、なにやら話し込んでおりました。
なので私は、若干の距離を置いた位置から、その巨大なケーキをのぞき込みます。

……なにこれ?子どもの粘土遊び??

アホな小学生が、自由気ままにこねくり回したかのようなデコレーション。うん、どうみてもプロがつくったレベルじゃない(笑)。

誰が見ても明らかに「これはまずいだろ〜」というであろう仕上がりです。
ただ単に巨大なだけ。タチ悪い!

もちろん、お味のほうは、どうだかわかりませんよ?
でもでも、食べる前に見た目だけで足きりを喰らいそうな、残念な見栄えの特大お誕生日ケーキです。

「どんなに性格がよくったって、その不細工さではちょっとね〜☆ いい人なんだけど……」

と、世の残念なルックスに生まれ育った私のお仲間が、人生で何度も聞かされてきた地獄のフレーズを想起させるような、それはそれはブッサイクなケーキだったのです。

みると、そのケーキにのせられていたフルーツは、すべてショートケーキ用に小さく切ったものを、普段通りそのまま使っておりました。
せっかくの特大ケーキなんだから、それに見合ったサイズのフルーツをのせればいいのに……。

さらに最悪なのは、このブッサイクさをどうにかしようとして、E蔵さんが手を加えれば加えるほど、どんどん安っぽい感じになっていることです。明らかに手を加えすぎ(笑)。
それは、素人である私の目にも明らかでした……。

■ 会社って怖え〜〜

私は、そのケーキをみて声を失っておりました。

当のE蔵さんは、しきりにベテランの職人である彼の上司に、「どうでしょう?」と意見を伺っています。

「う〜ん、俺とは考え方が違うからな……」

玉虫色の意見を述べて、その場を誤魔化そうとする彼の上司。

「まぁ、自分が思うようにやってみたらいいよ」

「これはウチの課の仕事というよりも、E蔵君個人の仕事みたいなもんだしさ」

と、もはや自己保身に走り出す始末です。
さすがはベテラン、会社って怖え〜〜。

本来ならば、上司は部下のする仕事に、きちんと意見をいうべきです。
しかしそこの課は、人間関係が上手くいっておらず、組織が何度も再編されているような状態でした。

常に他人の粗探しをしているような人間ばかり。
でもまぁ、みんなそうせざるを得なかったのでしょうね。
自分の身は、自分で守るしかないなのですから……。

なので、いつもギクシャクした人間関係で、職場の空気は悪くなる一方でした。
それはけっして、充満した生クリームの匂いのせいではありません!←上手いこといったと思ってないよなw

■ オイ!オマエどう思うよ?

そんな状態だったので、同じ課の人間の意見は当てにできません。

なので、見物にきていた私にまで、意見を求めてくる始末。ほとんど部外者なのに……。
いや、部外者だからこそ、変なバイアスのかからない意見が望めると、踏んだのかもしれませんけどね。

「オイ!オマエどう思うよ?」

E蔵さんは、私に意見を求めます。

これは、下手なことはいえません……。
私は、会社カーストの最下層である新入社員という身分であり、そもそも製造部の人間でもないので、その道のプロの仕事に口を出せるような知識や経験もありはしないのです。

「いや〜どうでしょう?」

「う〜ん、え〜っと……」

「凄く、大きいです……」

と、ネットで流行ったどこかのホモマンガのような意見を述べて、ボヤボヤに誤魔化してしまいました。ああ、自分に正直に生きたい!
※これは10年以上前のお話です。念のため(笑)

私の困惑する様子が、さらにその場の空気を重苦しくしてしまいました。
ああ、こんなの見に来るんじゃなかった……。

ハ〜イ、エブリワン!今回はここでおしまいダヨ!←意味不明なノリはよせw

次回へ続きますというわけで、そちらへズバッとアクセスアクセス!←……


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